Travel Notes 18
千葉は東京じゃない!?

ヤマザキジュン23歳、スウェーデン人の母と日本人の父を持つハーフ。

 船を降りると時刻は3時前、お昼の時刻はとっくに過ぎていて
お腹のムシがぐぅ〜ぐぅ〜。

 適当にレストランを探し、港を新市街に向けて歩く、空を見上げると
「YOKOSO!JAPAN」の文字が書かれた飛行船

 どうしてこんなところを飛んでるんだろう?日本政府も無駄な
ことに金使ってるな。なんて思いながら緑の綺麗なベルツェリー公園
の中を歩いていると、ちょっとおしゃれなオープンテラスのレストランを見つけた。

 一人で入るのにはちょっと勇気が要りそうなおしゃれなレストラン。
今日はランチOL、ニッタがいるので入ってみることにしよう。

 階段をあがり2Fのオープンテラスで席に着く。
目の前は緑が美しい公園、テラスは清潔感があって気持ちいい。

 ビールを頼み、メニューの中からサーモンのガーリック炒めみたいな
ものを選ぶ、北欧だからサーモンが美味しいはず。

 運ばれてきたビールを飲みながらふと奥のカウンターに目をやると
髪の色が、金髪ではなく少し黒が入った背の高いウェイターを見つけた。
 日本人?いや、でも顔つきをみると日本人ぽくはない。

 あの人、なんかちょっと日本人入ってない?そんなことを話して
いると、料理を持って彼がこっちに歩いてきた。

 僕らの席のまえに来て、料理を置くと開口一番、こう言った。

    「ニホンジンデスカ?」

 それはこっちが聞きたいセリフだ。
流暢な日本語を使う彼と話してをしてみたところ、彼はハーフだそうだ。
 お父さんが日本人で、お母さんがスウェーデン人、国籍はスウェーデン。

 どこから来たのですか?と聞かれ東京だと言うと東京のどこですか?
と来た、え?東京知ってるの?
 去年一年間東京に留学していて桜上水に住んでましたとさ。
たったの一年でこれだけ流暢に日本語が話せるのはスゴイ。
スウェーデンで桜上水という地名を聞くのもスゴイ。

 実は東京と言うか東京の隣の千葉の市川なのさと言うと、彼は

      「ちが〜う、千葉は東京じゃな〜い!!」

 んなことは外国人のお前に言われんでもわかっとるわい!!
千葉だとわからないだろうからわかりやすく東京って言ってやって
るんじゃないか!!隣だからいいだろ!!ディズニーランドだって
千葉にあるのに東京ディズニーランドって名乗ってるじゃないか!!

 スウェーデン人相手に、大人気なく突っ込むがイヤイヤ、千葉は東京
じゃない、と断固として否定される・・・。

 彼の名前は”ヤマザキジュン”思いっきり日本人の名前じゃん。
背も高くて顔もハンサム、白人と東洋人が混ざると美形になるとよく
聞くけど、純粋な白人のスウェーデン人と日本人だとこんなにカッコ
よくなるんだな、うらやましい、ニッタを見るとポ〜ッとなってる。

 オレもスウェーデン人の女の子と結婚しよっと。

 食事も美味しく、突っ込みどころ満載の彼のおかげで楽しい時間が過ごせた。

千葉は東京じゃな〜い!!うっさいわ!!
 歳を聞くと23歳、老けてるな・・・。



VOLVOを探せ

 実は今日、ストックホルムを発ってフィンランドに行く予定。
今回は飛行機ではなくバルト海を船を使って移動する。
 日本から予約しておいた船の出航時刻は17時、あと2時間しかない。

 ベルツェリー公園を出て、ハムンガータン通りを中央駅に向かって歩く。
昼間でさえ結構寒い、僕のもってるパーカーでは夜のバルト海は
きついかも知れない。

 上着を買おうと途中セルゲル広場前のH&M(若者向け?服のチェーン
店、ヨーロッパどこに行ってもあると思われる。町中H&Mだらけ。)
に寄ったりしてみるがあんまり気にいったモノがない、というか消費税率
が25%もあるせいか、モノの割りに値段が高い。

 まぁいいや、寒かったら外にでなければいいやと思いあきらめて再び
駅を目指す。
 ぶらぶらとウィンドウショッピングしたりしながら歩いていると駅に着いた
時には出航まであと1時間となっていた。

 ギリギリなのは毎度のこと、仕方ないので港までタクシーを使うことにする。
 ザックをコインロッカーから取り出すと駅のタクシー乗り場に向かった。
スウェーデンのタクシーはボルボやサーブ、ベンツなど日本で言う高級車
が使われている、まぁ自国の車なんだから日本で言うトヨタみたいなもん
なのだろうけど・・・。

 ここでニッタがVOLVOじゃなきゃヤダァ〜とのたまう。

 時間がないのになんてワガママなやつだ。
基本的に順番待ちなので車種は選べないのだけれど、運良くVOLVO
にあたり、とりあえずニッタお嬢様はご満足。
 ひんやりとしたレザーシートに腰掛けるとヴァッタハムネン港へ、と
アラーキーみたいな顔をしたドライバーに告げる。

 ストックホルム郊外の快適な道を20分ほど走るとタクシーは港についた。
案外早くついたのでアラーキーとVOLVOタクシーの前で記念撮影をする。

 あのオジサン、わたしの時は肩をだいてくれたのよ〜なんて
ニッタは自慢げに話していたが、それ日本でやられたらセクハラ
とか言うだろお前・・・・。

それにしてもスウェーデンのタクシー高いな。


バルト海クルーズ

豪華客船シリヤシンフォニー

 スウェーデンのストックホルムからフィンランドのヘルシンキまでは
豪華客船で移動する。

 このストックホルム⇔ヘルシンキ間はViking LineSilja Lineの2社が
船の豪華さを競いながら運航している。

 6万トン近い豪華客船で、2万もの群島の間の静かな海面を滑るよう
に進むこのクルーズは優雅の一言。

 船内には何軒ものレストランやバー、サウナ、プール、免税店、カジノ
薬局、おもちゃ売り場まで揃っていて、まるで海に浮かぶ豪華ホテルだ。

 僕らが利用したのはシリヤラインのほう。
 ちょっと贅沢だけど、僕らの部屋は6クラスある内の一番下のランク
なんとカーデッキよりも下に位置する窓ナシの部屋。(海面より下)
 部屋は二人で165ユーロ、1人1万2千円で寝ている間に移動できて
宿代浮くし豪華クルーズできるもんなら安いもんだ。

 受付を済ましカードキーを受け取って乗船。
中は吹き抜けになっていて船の中とは思えないほどの開放感。

吹き抜けのプロムナード。船の中とは思えぬ開放感。
プロムナードを抜け、エレベーターで僕らの部屋がある13階建ての2階まで降りる。

カーデッキよりも下で海面下の窓がない部屋ってどんだけひどいんだ?
そんな想像をしながらドアを開けた。

おおっ!!思ったより全然広い。ちゃんとシャワーもトイレもあるし、日本のフェリーの一等と遜色ない広さ、これで十分ジャン。

カーデッキより下ということでニッタは船が沈んだとき上等クラスの乗客から救助するんでしょ?あたし達、一番最後ジャン!!と心配してたがアホか、タイタニックの見過ぎ。



 部屋を出てデッキにあがる。
巨大な船体がゆっくりと港を離れ、島々に囲まれたとても静かな海を
ゆっくりと進んでいく。


宴は続く・・・。

夜の10時、夏の北欧は日が長い。

 外を見ると何隻もの客船が列をなしてゆっくりと外海をめざし進んでいく。
 ひととおり船内を見て周り、8時ごろお腹がすいたので夕食をとることにした。

 何軒もレストランがあるのとちょっとお洒落な雰囲気にビビってどこに
するかすごく迷う。
 なんだかんだでどこに入るか迷ってるうちに1時間も経過してしまった。
 思い切ってちょっと美味しそうなシーフードのお店に入る。
愛想のいいウェイトレスにいつもの手でオススメを頼む。
 バルト海は凪いでいて船はまったく揺れない。
エンジンの振動が遠くから少し響くがほとんど気にならない。
 僕らはビールを飲み、美味しい料理に舌鼓をうち、ウェイトレス
おすすめのスペイン産ワインボトル一本もらう。

 それからが長かった・・・・。

ニッタは二日酔いを恐れてかワインに一滴も口をつけず、僕一人で
ワインを飲んでいい気持ち。

 すっかり出来上がった僕は、スウェーデンクローナを処分するつもり
で愛想のいいウェイトレスに大量のチップを渡し、ワインボトル片手に
レストランを後にする・・・。

 その後、夜中の3時までワインボトル片手にニッタを連れ回し宴会は続く・・・。


        『バルト海の中心で愚痴を叫ぶ・・・。』


 お粗末でやんした。






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