Travel Notes 16
ニッタいまだ現れず・・・

水の都ストックホルム、大小の島々からなる美しい街は北欧のベニスと称される。

 列車を降りて到着ゲートに向かった。
到着時刻5分前、運行状況を知らせる電光掲示板にはニッタの
乗るLH3004便の横に着陸進入体制の表示。

 僕は3F搭乗ゲートに上がり展望レストランに向かった。
ここからは滑走路が見渡せる。
 時刻は18時ちょうど、遠くの空からゆっくりと滑走路に進入して
くる飛行機が見えた。
 その小さな機体にはルフトハンザドイツ航空の文字。

 アレだ、あれにニッタは乗ってるはず(タブン・・・)。
小さなB737は無事に滑走路に降り立った。
駐機スポットに入ると、ボーディングブリッジが接続され、
乗客が降りてくるのを確認した僕は再び、到着ゲートに向かった。

 運行掲示板にはLH3004便Arrivalの文字。

 乗客がすでに降りているし、同じEU圏内への入国審査はすでに
フランクフルトでパスしてるはずなので、あと5分ほどで出てくるだろう。

 行徳でしか待ち合わせしたことない二人が、遠い異国の地、
スウェーデンで待ち合わせなのだ、ちょっとした感動の再会。(のはず・・・)

 アイツ、生まれてこの方、一人で飛行機乗るの初めてだし、ましてや
国際線、しかも乗り換え有り。
 ねぇねぇ・・飛行機の乗り換えってどうすんの?フ・・フランクフルト
空港って超広いじゃん・・オロオロ...(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル ((((

 出発一週間前から緊張でお腹が痛くなり、フランクフルト空港の地図
をアタマに叩き込んで、なんども入国審査のシミュレーションをしていた
ニッタがついに、日本から遠く離れたここ北欧の地に降り立つ!!

   大人版「はじめてのおつかい」ついに感動のラスト!!

 「ア〜タ、私が空港に降り立ってそこに居なかったら泣くからね!!」
そんなセリフを吐くまで緊張しきっていたニッタ・・・。


 そ〜簡単に感動のラストを迎えさせてたまりますか( ̄ー ̄)ニヤリ

    注:基本的に私は顔文字苦手です。2ちゃんねらーでもありません。


 ふだん、ちょっとオレ様を小ばかにしてるフシがあるニッタを懲らしめる
千載一遇のチャンスだ、ウフフ...ニッタさん、泣いてもらおうじゃないの。


 僕は到着ゲートにある柱の影に隠れてニッタが出てくるのをじっと待った。
 ヤツが出てきて、俺を見つけられずオロオロおびえるのを
じっくり鑑賞させてもらい、今夜の酒の肴とさせてもらおう、ウフフ、
今夜はビールが旨そうだ。

 5分後、ぞろぞろと大きな荷物を抱えた人たちが降りてきた。
柱の影に隠れて見守る。
 10数人がでてきて列は途絶えた。その中にニッタは居ない。

次を待つ、時刻は18時10分。

 またぞろぞろと大きな荷物を載せたカートを押す人たちが20人ほど
出てきた、柱の影から見守るが、ニッタはおろか東洋人は一人も降りて来ない・・・。

 到着から20分が経過・・・誰も出てこない・・・。
じっと柱の影に隠れて待つ。

 到着から25分、またぞろぞろと人が出てきた。
顔つきを見るとドイツ人ぽく見えなくもない、これか・・・?

 しかし、ニッタは出てくることなく、人の列は途切れた・・・。

おかしいな〜?掲示板にはとっくに到着済みの文字、ここアーランダは
国際空港と言えど成田のようには大きくない、むしろ日本の地方都市の
空港のが大きいくらいだ。
入国審査もないのに、こんなに時間がかかるはずがない。
 空港内の案内図を見るが、出口はここ一つしかない。
さてはあの挙動不審ぶり、フランクフルトで入国審査にひっかかったか?

 到着から30分、もうこうして柱の影に30分も隠れてる。
白人しかいない、北欧のこの小さな空港に得体の知れない東洋人
の男が一人ずっと柱の影に隠れている。

 あ・・あやしい・・・あきらかに怪しい・・・まわりの出迎え客の目が
だんだんと不審な目つきに変わり僕を注視する・・・。
 ちっちがう・・・オレはゼンゼン怪しくない・・・って言っても無理。

 どうなってるんだ?30分経っても出てこないなんて、やっぱり・・・。

だんだん心配になってきた・・・しかし連絡のとりようがない、
ただ待つしかない・・・おい、ニッタよ、今どこだ・・・。


間抜け顔

ストックホルムに浮かぶ気球。このバルーンのようにニッタは遠いお空に飛んで行きましたとさ。

 フランクフルト発ストックホルム行きLH3004便が到着してから
35分が経った。
 目下のとこ、ニッタは行方不明、もはや生存の可能性はないな。
自ら生き残る力を持たなかったと言うことだ、可哀そうだがさらばニッタよ。

 そう思ったとき、再び到着ゲートから人が降りてきた。
あわてて柱の影に隠れて様子を伺う。
 すると・・・い・・いた!!ブロンドの白人に混じって挙動不審の黒髪の
サルもとい、ニッタ!!


 ホッとしたのも束の間、さっそく作戦行動開始。

 柱の影に隠れてニッタを伺う。
大きなザックを背負ったニッタはふらふら〜っとゲートから出てきて
周りをキョロキョロ、初めてのヨーロッパの地に降り立ってオレの姿
を探している模様。
 オレを見つけられずにふらふら〜っと歩き始めたので背後から
近づき、肩を叩く「エクスキューズミー!!」
 
 ビクッとして振りかえるニッタの顔を振り向きざまパシャッとフラッシュ
を焚いて撮影!!


  うわぁ〜〜〜〜〜〜間抜け顔〜〜〜〜〜〜!!


 最高の間抜け顔が撮れました。今後1ヶ月この写真をネタにニッタより強い立場に立つ。


 その様子を見て、僕を不審者と見て警戒していた周りの迎え客
が笑顔になる。

 「クァワァ〜ハッハ、ビビッた?ビビッた?ウェルカムトゥユーロ!!」

なんでこんなに遅かったんだよ、と聞くと、スウェーデンでの入国審査
所を探してウロウロしてたらしい、それはフランクフルトでするって
言っただろ、ったく。
 入国審査も済まさないで空港の外に出て来たから不法入国した
かと思って心配になったそうな、まったく間抜けなのは顔だけじゃない。

 兎にも角にもニッタはじめてのおつかいココに完結。
 (後日、番外編、ニッタの目から見たEURO2004掲載予定)

 こんなにかかるならバスでも良かったジャンか。
そんなこんなで無事感動の再会を果たした僕らはひとまずホテルに
向かうことにした。
 再び、アーランダエクスプレスでストックホルム市街へ。

Swedish raw beef

新市街から旧市街ガムラスタンを見渡す。ストックホルムは古い町並み新しい町並みをしっかりしっかり分けて計算された都市計画の上に成り立つ美しい都市だ。北欧のベニスとも言われる水の都。

 アーランダエクスプレスでストックホルム中央駅へ向かう。
ニッタは無事落ち合えた安堵感と興奮でやたらめったら写真を撮りまくる。
なんと今回の旅行の為にデジカメ新調。

 駅から新市街を歩いてホテルを目指す。
初めてのヨーロッパはどうよ?と聞くとふ〜ん、別に、いや綺麗ねぇ。
と冷めたお返事。
 ち・・さっきまで真っ青になってたくせに・・・。

 ホテルの玄関に面白いものがあるぜ、と言って玄関を開ける。
オレ「じゃ〜ん」、ニッタ「おぉ〜!!」
 中には外国の古い映画でしか見たことないようなレトロなエレベーター
鉄製の外扉をあけて、ジャバラ状の内扉を開けて乗る仕組み。
乗り降りはすべて手動な上に中のゴンドラはオール木製・・・。

    (あまり上手く取れてないけど写真はコチラ

荷物を部屋に置いて身軽になった僕らは、旧市街ガムラスタンに
行ってみることにした。
時刻は20時、北欧はこの季節、夜でも明るいから観光にはもってこい。

 ホテルから歩行者天国のドロットニング通りを南に下って歩いて
いくと10分ほどで旧市街ガムラスタン。

  ガムラ・スタン

 ストックホルムの町の起源は、13世紀半ば旧市街ガムラ・スタンの
丘の上に砦が築かれ、島全体を囲んだ城壁の中に人々が住み始めた
ことから始まる。
 13〜18世紀に造られた町並みを持つ島全体がそのまま現在まで
保存され今でも一歩足を踏み入れると中世に舞い戻ったかのような
感覚に捉われる。
 こうした古い建物の大部を改造した高級マンションや穴蔵のスペース
を利用したレストランやカフェテリアが人気を集めているそうだ。


 ガムラスタンに入るとさすがに今は観光のベストシーズン、狭い路地
は観光客で賑わっている。
 町並みはたしかに古いけど他のヨーロッパの街を見てきた僕には
特にこれといった感動はなかった。。

 ニッタと僕が二人揃うとビール無しでは始まらない。
 まずは無事に再会の乾杯といきたい。

 鉄の広場で適当なレストランのオープンテラスに腰掛けると
ウェイターの女の子にビールを注文、お腹もすいていたので適当に
メニューをみてSwedish raw beef と書いたものを注文する。
 実はコレが何かわかってなかったのでどんなモノが出てくるか
わからなかったのだけれど、そんなことはお構い無しで英語を駆使し?
スマートに注文するオレを見てニッタびびる。

  普通にオーダー出来てるからビビッた・・・by ニッタ

 フフフ・・・伊達にヨーロッパを6日間さまよってないぜ。
どうだ、尊敬したか、この地ではオレ無しでは生きられないだろ、
すげぇ〜優越感、うひゃひゃ。

 外は結構寒いんだけれど、とりあえずビールで再会を祝う。
いやぁ〜いつも居酒屋だけどスウェーデンまで来ましたな〜。

 続いて料理が運ばれてきたが想像とはまるっきり違うもの。
Swedish raw beef つまりスウェーデンの牛生肉ね。
 牛肉のミンチと香菜みたいなのが数種類お皿に盛られてて
ウェイトレスに聞いたところ、ぐちゃぐちゃに混ぜて食べるみたい。
つまるところ、スウェディッシュユッケ。
 
 僕は平気だったけど、ニッタ生肉食べられず。
食べたあと、ウェイトレスに美味しかった?と聞かれ、うぅ〜ん...と苦笑い。


 食事を済ませストール広場、セルゲル広場などを見て周る。
ガムラスタンにあるストール広場はストックホルムブラッドバス事件
の舞台。1520年、デンマークの侵攻に屈服し、後の王の父を含む
90人余りの貴族、高官、司教などが断頭刑に処され、広場が血で
染まったというストックホルムの血浴。


 セルゲル広場は新市街にある近代的な広場、1960年代から1970年代
にかけて伝統的な石造建築を古臭いとし、きらびやかなスチールや、ガラスの
モダンな建築がもてはやされ、一帯の街並が整備された。
 その後、古くからのストックホルムらしい街並みを台無しにする景観
だとして、さまざまな議論を呼び、現在、再開発して旧来の街並みに
復元しようとの声も出ているがとりあえず現状が維持される見通し。
 いまでは”二度と同じ過ちは繰り返さないための教訓になった。”
という市民の声も聞かれる。
 日本の京都ホテルのような話だけど、二度と同じ過ちを繰り返さない
常にそこからなにかを学ぶ北欧の姿勢は是非とも見習いたい。
 まぁ、2日酔いの度に、反省する僕にはえらそうなことは言えないけれど・・・。


(北欧では何か事件が起きたとき、誰が悪いかの責任追及ではなく、
なぜそうなったか、どうすれば二度とそうならないかを考えることに
重きを置く考え方が報道姿勢にも見られる様です。素晴らしい。)

             参照:バルト海の悲劇

  

 その後、遅くなって日も暮れたので(PM11:30)ホテルに一旦戻り、
再び近くのバーに飲みに出かけたが、時間が遅いためにキッチンも
閉まっていて、つまみも無しに寒さに震えながらストーブの近くで、
飲むビールが美味いはずもなく、マックでビッグマックセットを買って
帰りその日はバタンキュー。

 いやぁ〜観光って疲れるな・・・。


ガムラスタンからセーデルマルム島を望む、この日はなぜか気球が多く飛んでいた。





Back Index