Travel Notes 15
ベリービューティフルシティー

車窓から見えた港、こんな森の中にあるなんて日本では考えられない風景、でもとても綺麗。

目が覚めても列車は同じ景色の中を走り続けていた。
時計を見ると時刻は3時半、あと一時間でと少しで終点ストックホルム
中央駅に到着だ。

エミネムを見るとザックから青りんごを取り出してかじっている。
こっちの人はオヤツに果物をよく食べる。
家からカットフルーツを持ってきてる人や、バッグからリンゴを
取り出してまるまる一個かじる人をよく見かけた。
駅にも美味しそうな青リンゴが売っていた。

ふと窓の外に目をやると森に囲まれた入り江に港が見えた。
海だ!!ストックホルムは近い!!

 海が見えてからは早かった、ストックホルムの市街地の中を列車は
ゆっくりと進んで行く。
 
 終着駅、ストックホルム中央駅が近づき、例の名物車掌の
車内アナウンスが流れる。
 みんなドッと笑っているが僕は言葉が解らないので笑えない。
だけど、最後の一言だけ聞き取れた。


  「Welcome to very beautiful city Stockholm !!」


この一言で、ストックホルム市民がいかに自分の街を愛しているのか
とてもよくわかる、自分の街をとても美しいと言えるスウェーデンの人は素敵だな。。
日本もこんな素敵なアナウンスがあったらいいのに、なんて
思っている間に、5時間あまりを共にした]2000はスウェーデン王国
の首都、ストックホルム中央駅のホームにゆっくりと滑り込んだ。

パリから始まった僕の列車の旅はこれで終わり。

時刻は16:40、ニッタの乗ったの飛行機が空港に着くのは18時ジャスト。
まだ余裕があるのでとりあえず両替所でスウェーデンクローナを
手に入れて、それからホテルに先にチェックインして重いザックを
置くとしよう。

 駅のFOREX両替所は混雑していた。
ここには僕が来たデンマークとノルウェーからの国際列車が
到着してるので混むのだろう。
 整理券をとって順番待ちをする。
5分経っても僕の番号は呼ばれない、番号札と表示されている
番号を見比べるとどうやら僕の前には20人ほどいるらしい・・・。

 うぇ〜、このペースだとあと20分近くかかるぞ・・・。
どうすっか、あきらめてホテルに行くか?そう思ってたところ
目の前の黒人のお姉さんが僕に整理券をくれた、え?どうしたの?

 わたしトイレに行くから、この券あなたにあげるわ。

 ラッキ〜♪

そんなわけで15人抜きをかました僕は、トラベラーズチェックで
またも一悶着するも、無事にスウェーデンクローナを手に入れ、
日本から予約しておいたホテルに向かった。

新市街

おなじみセブンイレブン、さすがにおでんは売ってなかった。夏だからか?

 ここまでは宿も決めずに行き当たりばったりで来たけれど
さすがに新田が来て宿がないってわけにもいかないので、
ストックホルムでの宿は日本から取っておいた。

 重いザックを背負い、地図を頼りにストックホルムの街を
ホテルを目指して歩く。
 街の第一印象は、他のヨーロッパの都市と比べて全体的に
新しいなといった感じ、ホテルがある場所は新市街だからか
あまり古い建物はない。

 地図を頼りに歩いているとHOTELと書かれた小さな看板を
見つけた。
 普通のアパートの3階から上がホテルになってるようだ。
小さな看板がなければホテルとは気づかない。
 一階の玄関のブザーを押してカギをあけてもらい中に入る。
中に入ると目の前にはちょっとした面白いものがあった。
 その面白いものを使って3階のフロントまであがり、
予約してる旨を告げる。
カギを三つも渡される、ここはアパートとホテルが同居してるから
一つは1F玄関のカギ、もう一つは自分の階のカギ、そして最後は
当然部屋のカギ、夜になるとフロントは無人になるらしい。

 4階にあがり部屋のカギを開ける。
うわぁ〜広い!!古いアパートを改造した安ホテルだけど
ダブルルームだからかとても広く感じる。
決して新しいとは言えないが、清潔感があって床にはパイン材
が使われているいかにも北欧といった感じの明るい部屋だ。
 トイレとシャワーが部屋にいるいらないで新田ともめて?
間をとってトイレなしシャワー付き。
 シャワールームって言っても簡易式の0、5畳もないシャワー
ボックスが置いてあるだけだけど・・・。
 しかし、これ、スリガラスが四方を囲んでるだけジャンか、これじゃ
外からスケスケ、お互い裸なんか見たくもないわ。

 ヨシ!!気に入った!!こ汚い格安ホテルばかりに泊まってきたの
でとても快適に見える。家賃は二人で850SEK、日本円にして
約13000円、北欧では安いほうだろう。
 (あんまり安いホテルだと新田が文句を言う・・・。)
 

 重いザックをベッドに放り投げると、再び中央駅に向かった。


ひとつの旅のおわり・・・

空港へ向かうアーランダエクスプレス、時速はなんと200キロ強

ストックホルムアーランダ国際空港までの主なアクセス方法は2つ
空港バスかアーランダエクスプレストレイン。
空港バスだと89SEKで約40分かかる。
アーランダエクスプレスだと180SEK(約2500円)だが所要時間は18分。

バスと列車でどうして倍も時間が違うんだ?
とりあえず時間がなかったので値段はかなり高いが列車に
乗ることにする、時刻は17時35分、新田の乗った飛行機が到着
するのは18時ジャスト、EUへの入国審査はフランクフルトで
パスしてるはずだから10分ほどで到着ゲートから出てくるだろう。
海外経験なんて無いに等しいはじめてのおつかい状態のニッタは
ゲートを出たときに僕がいないと心細くて泣く可能性がある。(いい大人が)
保護者としては一分たりとも遅れるわけにはいかない。

アーランダエクスプレスの乗り場に行くと次の列車は17時38分
ヤバイ!!あと3分、コレに乗り遅れたらアウト!!

あわてて自動改札でチケットを購入すると列車に滑り込みセーフ!!

列車は走り出し郊外にでるとどんどんスピードを上げる。
車内に設置してある電光掲示板の速度計の数字が
どんどん上がっていってあっと言う間に200キロを超えた。

コリャ早い、バスで40分のところ18分で行くわけだ、ちょっとした
新幹線だ、日本の成田エクスプレスも見習え。

 速度計は210キロを表示して落ち着いた。

検札のお姉さんにルフトハンザのターミナルを聞くと親切に教えてくれた。


 6日前に不安と期待を胸に日本を出て、フランス、ベルギー、ドイツ、
デンマークと来てついにスウェーデンまでたどり着いた。
 そして今、6日前に成田まで送ってくれたニッタを遠い異国の空港
まで迎えに行っている僕がいる。

 最初は一人で言葉もしゃべれなくて平気だろうか?
列車にはちゃんと乗れるのだろうか?宿はちゃんと確保できるだろうか?

 そしてちゃんとストックホルムまでたどり着けるだろうか?
そんな不安で一人心細かったけど、たった6日間でも見ず知らずの
国でちゃんとやってこれた自分に少しは自信が付いた。
 いろいろなモノを見て聞いてきた、世界は広い!!

 これで僕にとってのたった一人の冒険旅行は終わりなんだな...。

そう思うとちょっと淋しくなった。

物思いにふける間もなく、僕の乗ったアーランダエクスプレスは
あっという間にストックホルムアーランダ国際空港に到着する。

 ここからは、冒険から普通の観光旅行に切り替えだ。
ただし、ニッタが無事に着けばだけど・・・。





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