Travel Notes 6

お気に入りのネットカフェ

子供の頃に憧れたTGV

 昨日歩き廻って疲れていたのだろう、目が覚めたのは10時だった。
フロントに降りるとフランス野郎ではなく、女性が座っていた。
 彼女に、まだ朝食に間に合うか聞くと大丈夫よ、と返ってきた。
ついでにホテルのチェックアウトタイムも確認する。
 
 朝食を済ませシャワーを浴びると荷物をまとめてフロントに行き
チェックアウトの手続きをする。

 昨日までのフランス野郎と違ってしっかりしてそうな女性だ。
あんにゃろ、結局テレビの交換には来やがらなかった、まぁいい、
どうせ見てもワカラン。
 チェックアウトの手続きを済ませ、今日一日ザックを預かってくれない
か彼女に頼んでみた。

 「ノープロブレム!!」

彼女は笑顔で答える、メルシー!!

 今日はパリを出る前に上着を買いに行くつもり、昨日は日曜のため
どこの店も休みで買えなかったのだ。これから北上する予定
なので、ここから先はパリより寒いと思われ上着がないときつい。

 それに今、ヨーロッパはバーゲンの時期なのだ。
女性ならずともこのチャンスを生かさない手はない。

ホテルを出て地下鉄の駅に向かう途中のインターネットカフェに寄った。
ここのネットカフェは中国人か韓国人(どっちだろ?)が経営していて、
日本語の入力もできる、お店のマスターも僕に親切だし、何より
ここの女の子の笑顔がかわいくて僕のお気に入りだ。

  俺様御用達ネットカフェとなっていた。

 店に入ると今日も彼女がいた。
僕の顔を見ると照れくさそうにはにかみながら
席に案内してくれた。初日からここに通っているけど、結構彼女に
気に入られてるのかもしれない。(気のせいか?)
今日で最後なんだけど何も進展しなかったのが残念だ。

あと、一週間あれば・・・。

カフェで日本とのメッセンジャーをしたりしながら、今日これから
予定についてリサーチしてみた。今日、ベルギーのブリュッセルに行き
ベルギーとルクセンブルクをまわるか、それともこのままフランスに
残ってベルサイユ宮殿を見るか。

フランス革命を起こすほど反発を買った贅の極みの大宮殿
ベルサイユを一度見てみたかった。そりゃ〜すごいことに
なってるに違いない、白金あたりの億ションなんて目じゃないはずだ。

しかしネットで調べるとベルサイユ宮殿はものすごく混むらしい。
昨日のパリ散策でベルサイユ宮殿の混雑が容易に想像できた僕は
今回はベルサイユをパスすることにした。

次回ヨーロッパに来たときの楽しみとして取っておく事にする。
なんだかんだでネットカフェで2時間も時間を潰してしまった。

時間はもう1時を過ぎている、急がねば。


彼女はいつもどおり僕を笑顔で見送ってくれた。


地下鉄に乗り、パリのプランタンに行く。

寒ささえしのげればいいのに、何だかんだでデザインに凝ってしまい
納得のいくものが見つからない。

いろんなお店を見てまわっているうちにヤバイ、もう3時半だ。

えぇ〜い、こうなりゃ無難なものでいいや、バックパッカーらしく
ラフな格好の上着を探してナイキショップに入り適当なものを
レジに持っていく。

しまった、この店、セール対象外だ...。

 いまさら戻すのも、これから探すのも面倒だ。
日本に帰ってからも着れるだろ、買っちまえ。

寒いので、そのままタグを外してもらい着て店を出た。
急がねば、今夜もパリに泊まる羽目になる。

ホテルに戻りザックを背負うとパリ北駅を目指した。

無人を避ける人々

パリ北駅、ユーロスターにTGV、タリスと夢の超高速列車がたくさん並ぶ。

 北駅に着いた時には時刻は午後4時をまわっていた。
こんな時間からどうしよう、トーマスクック鉄道時刻表をめくる。

16:25にベルギーのブリュッセル行きの列車がある。
それに乗れば1時間半ほどでブリュッセルだ。
6時着ならまだ宿を探す余裕はあるだろう。

 出発まであと15分だ、急いでチケット売り場に行くとそこは長蛇の列。
ヨーロッパ人は不思議なことに自動券売機があってもそこには
目もくれず有人のチケット売り場に並ぶ。
 例えチケット売り場が長蛇の列で15分待ちで、その隣に自動券売機
があったとして待ち時間ゼロだったとしても有人の並ぶほうを選ぶ。
 これは何故だか理由はわからないが理解に苦しむ。
ヨーロッパどこの駅に行っても同じような感じだった。
 そんなに行列が好きなら日本にでも住むがいい、こっちはまっぴらだ。

 この駅も例に漏れず有人のチケット売り場は15分待ちの列。
隣においてある自動券売機は待ち時間ゼロだ。
 16時25分の列車まであと15分、このまま列に並んでいたら間に合い
そうにないのだが、せっかく並んだし初めて列車のチケットを買う
ので、僕もなんとなく自動券売機は避けた。
 
 16時25分がダメなら次にすれば良い。

結局とれたチケットは2本遅れの17時25分の列車。
ブリュッセルに着くのは18時50分だ、まぁいい、とりあえず今日の
うちにパリは脱出だ。

 あとで自動券売機で自分の列車のチケットを買う寸前までやって
みたがなんら問題なくスムーズに買えそうだった。
 一体なぜみんな使わん?

陸路国境越え

パリ北駅の時刻掲示板 僕の乗るブリュッセル行きタリスのホームはどこだ?

発車まで時間ができたので、近くの売店でサンドウィッチを買った。
そういや、お昼食べてないや。

ヨーロッパの駅は天井が高くてとても開放感がある。
2階から駅構内を見渡すとパリとロンドンを結ぶユーロスターや、
フランス版新幹線TGV、パリ〜ブリュッセル〜アムステルダムを結ぶ
タリスなどが並ぶ、2階からサンドウィッチをかじりながらそれらの
列車や駅構内を行きかう人々を見ていると鉄道ファンならずとも結構楽しい。

出発まで15分と迫り、時刻掲示板を確認しに行く。
ヨーロッパの鉄道は直前になって発車ホームが変わることが
しょっちゅうあるらしいので直前のチェックは欠かせないのだ。

 ブリュッセル行きの超高速列車タリスのホーム番号を確認すると
ホームに向かう。
 ヨーロッパの鉄道駅には日本のような改札口がない。
駅構内に改札口がないのでプラットホームはおろか列車の中に
だって誰でも自由に出入りできる。スリや置き引きといった犯罪者
も乗り込むことができる為、荷物には要注意だ。

 改札口が無いがどうするかと言うと、ホームに刻印機が置いてあり
自分のチケットをそれに通して刻印する。刻印がないとチケットは無効
で罰金だ。車内ではかならず検札に来るので無賃乗車は出来ない。

 切符を刻印機に通し、車両に乗り込む、ヨーロッパのホームはとても
低い、これじゃホームからの落下事故はないだろうなぁ。

 車両に乗り込み自分の席を探す、こちらの鉄道の座席はほぼ
全て知らない客との向かい合わせだ。日本の新幹線のような座席は
ない。

僕の向かいは太っちょのえらい化粧の濃いオバハンだ。
おい、オバハン、足伸ばしすぎ!!

発車時刻になり、突然ドアが閉まる。

日本のように親切に発車ベルなんて鳴らしてくれない。
駅に着くときもいちいち車内アナウンスなんかしてくれない。
駅に着いたらすばやくホームを見て駅名を確認しなければ
ならない、居眠りなんかしてたら隣の駅ならぬ隣の国に行っちゃうぞ。


国際列車タリスはブリュッセルに向けて走り出した。

車内はほぼ満席、駅から離れて5分ほどすると猛烈にスピードを
あげ始めた。
最高時速は世界最高速の新幹線とタイ記録の300km/h
たったの一時間半でベルギーの首都ブリュッセルだ。



フランスベルギー国境付近 結構揺れるぞこの列車


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