Travel Notes 3

パリまでの列車RER

 正式国名 フランス共和国
 面積    日本の1.5倍。本国のみ。他に海外領土を保有
 人口     6139万人。海外領を含む。
 首都    パリ。人口214万7000人
 言語    フランス語
 通貨    ユーロ

いつもこれから・・・

 「さて、これからどうすっか?」

計画性の無い僕が、初めての国の空港に降り立った時、いつもまず最初に
考えるのがこれだ。

 「さて、これからどうすっか?」

 この言葉には、空港に降り立ってみたはいいが、こっから先、何にも決まって
ない・・・今夜の宿は?こんな時間から探して取れるのか?いや、むしろ、まず
どうやって街まで行くんだ?

といった不安と

初めての国に降り立った、さぁ、今から旅が始まる!!この国は一体どんな
だろう?これから先、何が僕を待ち受けているのだ?そうしたワクワクする期待
との両方が入り混じっている。


とにもかくにも、僕を乗せた飛行機はパリのシャルルドゴール空港に
降り立った。

 「さて、これからどうすっか?」

 到着ゲートのベンチに腰掛けて考えた。
今の時刻は17時、今回は去年の教訓から初日のパリの宿は
確保しておいた、今夜の寝床を探してホテル巡りをする必要はない。
 とりあえずホテルに向かおう。
では次にどうやってパリ市内に向かおうか。
 ガイドブックによると空港から市内へのアプローチ方法は主に3つ。

 1、空港バス 2、高速郊外鉄道RER 3、タクシー

この3つだ、まず3のタクシーは料金を考えると選択肢として有り得ない。
次に空港バスと鉄道RERだが、いろいろとネットでリサーチした結果、
どうもRERはやばいらしい。


参照:シャルルドゴール空港とパリ市内を結ぶRER(首都圏高速鉄道)のB線では、大きな荷物を持った空港利用客を狙った置き引きや強盗事件が発生しています。その多くは多人数による犯行であり、いきなり旅行者を取り囲んで荷物を奪う荒っぽいものや、駅に停車して車両ドアが開くころを見計らって話し掛け、旅行者が荷物から気をそらした隙に、別の犯人が荷物を奪ってドアが閉まる前に逃走するという手口もあります。多少割高ですが、同空港からパリ市内へはバスを利用する方が安全です。

                              
外務省HPより


 バスはパリ市内での到着場所がよくわからないのと割高という言葉
が引っかかった、スリというのはいまだ見たことがない、いったいどんな
もんだか見てやろう...そう思ってRERに乗ることにした。
(そういう選択はあまりほめられたもんではないが今回エアーの
チケットが高かったため、あまり優雅な旅はできないのだ。。)

 そうと決めると貴重品をこれでも取れるもんなら取ってみろと
ザックの奥にしまって、RER乗り場を目指して、歩き出した。
入国審査は同じEUであるドイツで行ったのでフランスでは手続き無しだ。

 シャルルドゴール空港は広い、RERの駅を探し回ったが
よくわからない、空港の入り口付近でキョロキョロしているとフランス人
の女の子が話しかけてきた、May I help you? どうやら彼女は
空港のガイドか何かのようだ、彼女にRERの乗り場はどこだ?
と聞いてみるが、よく通じない、彼女の早口のフランス訛りの英語も
聞き取れない。

 う〜ん、困った、この子がカワイイのはうれしいが気まずいので
あまり長時間話したくない。RERが通じないのだ。彼女も申し訳
なさそうに僕を見ている。
 仕方なく、ガイドブックを見せ、これだよこれ、とRERと書いた文を
見せると、OH!エールウーエールね、と言った。

 なるほど、アールイーアールはフランス語読みでエールウーエール
と読むわけね、つーかお前、アールイーアールでわからないならガイド
すんなよと思ったが可愛いから許す。
 でもこれじゃ先が思いやられる。

 彼女の早口なフランス訛り英語によるとどうやらバスでもう一つ
のターミナルに行くらしい。

 彼女の言うとおりにバス乗り場に行くとなるほどあった、鉄道マーク。
 
 エライ飛ばし屋なバスで乗客のオバちゃん達は悲鳴を上げる。
運転手はミラー越しに僕にどうだい、と言わんばかりにニヤリと笑った。
僕もふふん、やるじゃねーかとニヤリ返し。
 
 運転手は親指を立てながらウィンクをして俺を見送ってくれた
こっちも親指を立てて返す。わけが分からないがちょっと楽しい。


ヤバイ列車?

あ...みんな降りる...

 RER切符売り場の前でフランス語の駅名を言う練習をする。

 パリ北駅 GARE DU NORD :ギャレドゥノルドと言うらしい・・・
   (周りの人がそう発音しているように聴こえた。)

 何度も口の中でつぶやく、ギャレドゥノルドワンプリーズ!!
ギャレドゥノルドワンプリーズ!!ギャレドゥノルドワンプリーズ!!

 フランス語ベラベラと思われる日本人ぽい女の人が僕の前で
スムーズにチケットを買っている、むむぅ〜俺も負けられないぞ!!
 僕の番が来た、

    「ギャレドゥノルドワンプリーズ!!」
 
 人差し指を一本立てながら言った。
し・・・しかし駅員の女性は怪訝な顔をしている、つ・・通じないのか?
もう一度繰り返す

    「ギャレドゥノルドワンプリーズ!!」

すると駅員は怪訝な顔をしながら親指を立てて「ONE ?」と聞いた。
YES!! どうやら僕の発音の悪さもさることながら原因は一指し
指にあったようだ、フランスでは1は親指を立てる、いわゆるグッド
ってやつが1を表すらしい。

なんとかチケットを手に入れたが、フランス語の洗礼にもうヘトヘト・・・

次に電車に乗るべくホームに降りたが、どっちが目指すパリ北駅だか
わからない。
 ええい、ままよ!!と来た列車に乗ってみた。
ドアがしまり列車が動き出す、これで合ってるのか?
さっぱりわからない、どうにかなるだろう、こんにゃろ。
しばらくすると列車は次の駅に着いた。
乗客がみんな降り、車掌がまわってきた、このシチュエーションはもしや・・・


            ガ〜ン終点で〜す。


 パリの市内まで行けない俺がストックホルムまで鉄道で行けるのか?

とりあえずホームにでて逆方向の列車に乗り込み席に座った。
さっき乗った駅を通り過ぎ(泣)列車はパリに向かって走り出した。

 窓の外にはのどかな風景、いつ来るか?と思って身構えてみたが
どうやらまだスリ集団が来る気配はない。
 ネットの情報によるとほぼ100%出現するらしいが・・・。

途中駅でちらほらと乗客が乗り込んできたが特に問題なさそうだ。

15分ほど過ぎたところで、隣の車両から女が移ってきた。
女は立ったまま壁に寄りかかると、突然、大声で歌いだした。

な、なんだ?あまりの突然の出来事に状況が把握できず周り
を見回すがほぼ満席の乗客は気にかける様子もなく平然としている。

この先、何が起きるのだろうと思いながらも平静を装い、窓の外の
景色を眺めつつ歌を聴いてみた。

よく、聴いてみると結構上手い。
でも何なのだろう?突然歌いだして異常者か?ドラッグでイッちゃって
るのか?それとも歌の練習か?こうやって突然歌いだす人がいても
まわりの乗客が平然としてるところをみると芸術の都パリでは
車内でいきなり歌を歌いだす人は珍しくないのだろうか?

日本では考えられない状況に戸惑う。

5分くらい歌っていただろうか、やがて女の歌が終わり、彼女は
なにやら紙コップを持って車内を歩き始めた。
乗客の何人かに一人がコインをそのコップに入れる。

どうやら、彼女はストリートミュージシャンなのだ、こうやって
歌を歌いながらお金を稼ぐ。
ちらほらとお金を入れている人もいたが、僕はあまりの突然の
出来事にそんな余裕は無かった。

 そうして彼女は隣の車両へと去って行った。

あれは小遣い稼ぎなのだろうか?それとも本職なのだろうか?
よくわからないが、ちょっとビックリな出来事だった。
 その後、こういうのがパリの鉄道ではしょっちゅうだとわかった。


パリの第一印象

パンは美味い!!

突然のアカペラショーが始まった以外は特に何事もなく列車は
パリ北駅へと到着した。
 ザックを背負い、出口を探し、駅を歩き出した。
駅の中にはガラの悪そうな連中がウヨウヨいる。
 不良少年たちもたむろしていて警察の尋問を受けてるやつもいる。
パリの北駅の地下はどうも治安が極めて悪そうだ。
 ここで財布でも出そうものなら一発だと思われる。

迷いながらも1Fに出て、駅構内から外に出る。

  う!!さ・・・寒い!!なんだ、7月というのにこの寒さは
去年はフィンランドでさえも暑くてしょうがなかったのに、Tシャツしか
持ってこなかったぞ。
 仕方ない、後で上着を買うことにしよう、ちくしょう無駄な出費だ。
予約してあるホテルは北駅から地下鉄で3駅くらいのとこだ。
 土地勘をつかむためにもとりあえず歩きで行ってみることにする。

 日本の感覚で行くとビックリするのだがヨーロッパには東京のような
巨大な都市はない。大都会のパリでさえ。ちょうど山手線の内側に
すっぽりはいる大きさだ。ほかの中小の都市は推して知るべし。

ヨーロッパの都市の地図を広げてみてほしい。
そのあまりの小ささに驚くはずだ、ヨーロッパ屈指の大都会”花の都パリ”
でさえ、歩いてまわることは可能、他の都市などは言うに及ばない。

だからまず土地勘をつかむためには歩くのが一番だ。

北駅からREPUBLIQUE広場に向けて歩く、第一印象だが
花の都パリと聞いていたがどうもその呼び名から想像していた
イメージとは違い、なんだか汚いって感じだ。
地図を見ながら歩くが街はガラの悪そうな黒人や怪しいインド人で
あふれ、道を聞くのもはばかられる。

パリってこんなに白人の割合が少ないのだろうか?
どうにも治安はよさそうに無い。
大きなザックを背負いながらホテルを目指して歩く。

う〜ん、どうやら道に迷ったぞ、でもこの大きなザックを背負いながら
立ち止まって地図でも広げようならたちまち怪しげな奴に話しかけ
られそうだ。

しばらく歩き続け、上品そうなパリジェンヌを捕まえて道を聞く。
 「リパブリック広場にはどう行けばいいですか?」
またしても通じない、うーん、困った、ガイドブックを取り出し地図を
見せる、「あぁ、レピュブリック広場ね」と・・・またしても俺の英語惨敗・・・。

フランス語の壁と緊張でヘトヘトになりながらも小さなホテルの
フロントにたどり着くと、フロントにはいかにもフランス野郎な
女好きそうな男が座っていた。

このホテルは日本から予約できるもっとも安いホテルだ。
日本の感覚でホテルをイメージしていくとヨーロッパでは驚くだろう。
建物は本当に小さく、築100年以上のモノがザラだ。
よっぽど高級なホテルでもないかぎりエアコンなんてついてないし
エレベーターもないこともある、シャワーのお湯がでないなんて
日常茶飯事だ。
いや、むしろシャワーとトイレがついてるかどうかも怪しいぞ。
だからホテルに泊まる時は事前に部屋のチェックが必須だ。
(僕なんかが泊まるレベルのホテルの話だけど・・・)


チェックインを済ませフランス野郎から鍵を受け取り部屋に入る。
うん、結構綺麗な部屋だ、ザックをベッドに放り投げシャワーの
お湯が出るかどうかチェックする、前に台湾で安宿に泊まった時は
シャワーのお湯が出なくて参った。
うん、問題なし、テレビが壊れてるみたいだけど後で取り替えさせよう。

顔を洗って長袖のシャツに着替えて部屋を飛び出しフランス野郎に
テレビが壊れてる旨を伝え、鍵を渡し、パリの街に飛び出した。

パリの夜

夕焼けのセーヌ川

 時刻は夜の8時だ、8時といってもヨーロッパは緯度が高いので
日が暮れるのが遅い、8時でも全然明るいのだ、おそらく日が暮れる
のは11時くらいだろう。
 
 とりあえずセーヌ川まで歩いてみよう。
身軽になって地図を片手にセーヌ川を目指して適当に歩くと
見たことがある建物が見えてきた、変なデザインのポンピドゥーセンターだ。

ポンピドゥーセンターの前の広場には、座ってビールを飲む人、
ギターを弾き歌う若者、手を握り見つめあう恋人達、ワインを飲みながら
大声で歌う男、いろんな人がおもいおもいに夏の夕方?を過ごしている
僕もそこに座ってガイドブックを眺めながら明日の予定を考えて見る。
あぁ、パリに来たんだなぁ、ここは花の都パリなんだなぁ、そう実感
が沸いてきた。

 そう思って周りを見渡してみるとそこらじゅうで飲み唄い、キスをしてる。
なんだか皆楽しそうだ。

僕も明日からのパリにワクワクしてきた。

セーヌ川まで歩いた、対岸のシテ島にはノートルダム大聖堂
明日はあそこから始めよう、そう思ってホテルに帰った。

帰りにピザとビールを買いホテルに戻ると長旅と時差ボケでバタンキュー。

おやすみなさい。






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