Travel Notes 2
機内食論@ロシア上空

まもなく着陸

 何時間くらい眠っただろう?

ひとしきり機内映画も見終わり時間を持て余し始めた頃、
機内の照明が一斉に点灯し周りの乗客たちが
そろそろか、といった感じで一斉に窓のシャッターを開け始めた。

今まで暗かった機内に高度1万メートルのまぶしい太陽の光が差し込む。
僕も、窓に下ろしていたシャッターを上げた。

 今どの辺だろう?

機内のモニターに映し出されているGPSの地図によれば
ロシア上空、モスクワより北に数百キロってところだ。

窓の外、翼の下にはロシアの広大な大地のなかに延々と流れる
川があり、その流れに沿って小さな町が見える。
何という町だろう?機内パンフレットの世界地図を見てみるが
そんな小さな町が載っていようはずもなく、疑問は解けなかった。


多分、僕が一生訪れることもないだろうこの小さな町にも、
子供がいて、家族がいて、人々の生活があるのだなぁと思うと
とても不思議な気持ちになった。
 この名前も知らない町にいつか行ってみたいと思った。

 窓の外を眺めながら、ガラにも無く詩人のようなことを考えていると
機内アナウンスが流れてきた。
 飛行機は順調に航行しており、あと3時間ほどで目的地、フランクフルトに
着くそうだ。
 そして、これから最後のお食事を出します・・・と、詩よりも飯だ!!


 しばらくすると如何にもドイツ人といった顔つきのスチュワード、
キャビンアテンダントが機内食を配り始める。


 機内食と言えば、退屈な空の旅の中で結構な楽しみなんだけど
このルフトハンザの機内食は不味いソーメンとウナギが出てまいった。


 機内食って結構重要なファクターで、例えエコノミークラスであった
としてもこれの良し悪しで航空会社を選ぶ人がいるから侮れない。


航空会社もそれとわかってて結構力を入れている。
例えば、中華航空なら中華料理、エールフランスならフランス料理、
といった感じにその国のお国柄や、オリジナリティーを出してくる。


しかしこのルフトハンザドイツ航空、いくら日本線だからって
これからヨーロッパに行くのに機内食にソーメンとウナギは
無いだろう・・・それもパンとソーメンって組み合わせは一体・・・。


 これからヨーロッパに行こうって人に下手な日本食はいらない。
お国自慢のソーセージを食べさせてくれ、ドイツ料理を食べさせてくれ。

そう思うのは僕だけだろうか?
(一応、機内食に対してのアンケートがあったのでそう書いておきました。)


機内食とあいまって、楽しみなのがビールだ。
国際線はビール飲み放題なのだけどコレも面白くて、その国の
ビールが出てくる。
僕が今まで経験したのは中華航空の台湾ビール、オランダ航空の
ハイネケン、全日空のキリン、と言った感じだ。

その点、ルフトハンザはビールの国、ドイツの航空会社だ。
当然、ビールは美味しく、何種類も何本も楽しませて頂きました。


一応国際線

フランス行き、ちっちゃ!!

 そうこうしている間に、僕を乗せた成田発フランクフルト行きLH 711便は
ドイツ、フランクフルト国際空港に向けて高度を下げ始めた。
窓の下にはパッチワークのような畑が広がってる。

 まもなく一年ぶりのヨーロッパに降り立つ。
ここ、フランクフルトでパリ行きの飛行機にトランジットするのだ。

 僕を乗せたボーイング747は荒々しい音を立て滑走路に着地した。
芝生の綺麗な空港の中をゆっくりとタキシングし、駐機スポットで停止した。


一斉にシートベルトを外す音が聞こえ、乗客たちが立ち上がり荷物を
降ろし始める。
 気の早い人は早くも通路に並びドアが開くのを待っている。
僕もザックをキャビネットから降ろしその列に並んだ。

 ドアが開くとぞろぞろと列が動き始めそして13時間を過ごした
機内からヨーロッパに降り立った。


 到着ゲートにいたルフトハンザ航空の日本人職員にパリ行きの
便の搭乗ゲートを訪ね、パスポートコントロールに向う。


 パスポートコントロールではEUへの入国審査を行う。


「What's your visit purpose?」


流暢な英語でドイツ人入国審査官が言った。


「Sightseeing!」


そう答えるだけでパスポートにスタンプが押されてハイ通過。
まさか、テロを起こしになんて言う馬鹿もいないだろうから楽勝。


 パスポートコントロールを通過してパリ行きの搭乗ゲートを
探し、ゲートの前のベンチに腰掛ける。

 搭乗開始まで一時間、なんとも中途半端な時間。
本来ならば今、日本時間で夜の11時半なのだがここの時間は
午後2時半、日本との時差8時間だ。

 会社の人にもらったばかりの使い慣れない時計の説明書を
引っ張り出し、時間をヨーロッパ時間に合わせる。


 ガイドブックを読んだりして時間を潰しているとドイツ語訛りの
英語で僕の名前が呼ばれてるが聞こえてきた。

 ん?まだ出発まで20分もあるのに何だろう?
まだ飛行機もゲートについてないのに・・・。
なんか悪いことでもしたか?さっき機内のエチケット袋を2〜3枚くすねた
のがいけなかったか?
 立ち上がると搭乗ゲートのドイツ人のオバちゃんが早くこっちへ来なさい
と手招きしている。


なんだなんだ?と思って行ってみると、どうやらあなたが最後よ早く早くと言ってるようだ。
 出発までまだ20分もあるし、だいち、飛行機はまだ来てないじゃないか。
疑問に思いつつも言われたとおりにチケットを渡すと機械を通し、
ほらほら、とせかすように僕の肩をたたいててオバちゃんは一緒にゲートの
先の階段を降り始めた。

降りたところに待っていたのは、なんとバス。
どうやら僕が最後の乗客だったようだ。
バスの中には10人ほどの乗客がすでに乗りこんでいた。

ドイツのフランクフルトからフランスのパリまで行く一応国際線
なんだから大きな飛行機が搭乗ゲートに直付けされるもんだと
ばっかり思い込んでいた、まさかバスとは・・・。

「Have a nice trip !!」

オバちゃんはそう言って笑顔で僕をバスに押し込むと
運転手に彼で最後よと伝えた。
 
バスは空港の中をグルグル回って空港の端っこのとても小さな
飛行機の前で僕らを降ろした。

「え?これ?」

目の前の飛行機の小ささに正直、ちょっとビックリ。

何度も言うが、まがりなりにもフランス共和国とドイツ連邦共和国
を結ぶ国際線である。

それなのに目の前に停まっている飛行機はお世辞にも
大きいとは言えない小型旅客機。
(どうやらB737というらしい。)
しゃがまないと飛行機の下をくぐれないくらいだ。

高速鉄道網が張り巡らされたヨーロッパ。
ここでは陸続きの隣の国に行くのにあまり飛行機は使わないのだろうか?

どうやらジャンボ機が国内線を飛び回ってる日本のほうが普通ではないようだ。


フレンチ訛りのイングリッシュ

かつての激戦地ドイツ上空

 タラップを上がり機内に入ると、また驚いた。

まず一つは、機内がガラガラだ!!
100人乗りと思われる機内には乗客は20名弱!!
これで採算採れるのか?

(実はヨーロッパには格安航空会社が多数存在していて鉄道、格安航空会社と、これらのライバルに大手エアラインはだいぶ苦戦を強いられてるらしい。)

   格安航空会社参考HP:http://europe.s9.xrea.com/
     (200円とかあるぞ!!なんじゃコリャ!!)


もう一つ驚いたこと。
それは・・・シートが全部革張りやんけ!!

     
                 ゴ〜ジャス〜♪


 レザーシートのひんやりとした気持ちよさを感じながら小さな飛行機
はパリに向けて力強く離陸した。

パッチワークの畑の上をグングン上昇して雲の上に出る。

かつて第二次大戦中、連合国軍のB17やマスタングとドイツ空軍の
メッサーシュミットが激戦を繰り広げたドイツ上空だ。


  フランス人おばちゃんスチュワーデスの強烈にフランスなまりを
帯びた英語の機内アナウンスを聞きながら、小さなB737はパリに
向けてグングンと上昇していった。(小さいからちょっと揺れた・・・。)






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