Travel Notes 13
コンチネンタルブレックファスト

幼稚園児のお散歩♪

 目が覚めたのは朝の7時だった。

 窓の外は雨、洗濯物は乾いていなかった、出発までに乾くかな?
そんなことを考えながら、廊下にある共同のシャワールームに向かった。
シャワーを浴びると、0Fの食堂に向かった。
ヨーロッパには1Fとは呼ばず0F、グランドフロアというのが結構ある。

日本で言うところの2Fが1Fにあたるのだ。

食堂はコンチネンタル・ブレックファストだ。
面白いのがスライスチーズを切る機械、15センチ角の大きなチーズが
2個並べてあってハンドルをまわすとワイヤーがぐるっとチーズを一周。
するとスライスチーズができあがる仕組み。

おもしろくて何枚も切ってみた。

チーズにパン、オーガニッククラッカーにハムを適当に取ると
席に座った、隣の席には日本人の中年夫婦。

この街で見かけた初めての日本人だ。
夫婦で、昔、デンマークに在住したことがあるらしく、再び訪ねてきた
そうだ。

彼らから見たら僕はとても若くて行動的でうらやましく見えるのだろう。
でも僕はもうそんなには若くない気がする、会社勤めをしてもう7年。
なんだか少し寂しいような、まだこれからだって気がするような・・・。


朝食を済ますとホテルを飛び出した。
フロントのおじさんが、MR、今日チェックアウトじゃないんですか?
出て行こうとする僕にそう声をかける。
チェックアウトタイムまでに戻るよ!そういうとOK、笑顔で送り出してくれた。

Rain Copenhagen

コペンハーゲン市庁舎、1905年建造で中には100年に1000分の1秒しか狂わないイェンス・オルセンの天文時計がある。

宿を出るとコペンハーゲン中央駅で午前11時20分発のX2000を
予約した。
いろいろ考えたのだが午後6時にストックホルムアーランダ空港に
着くためにこの方法を選んだ。
他に飛行機で飛ぶ方法も検討したが、チケットが32000円と余りに
高価すぎた。
1時間で着くというのは魅力的だったが、X2000なら15000円だ、
空港での乗り継ぎ時間を考えると所要時間5時間の鉄道も悪くない。

チケットを手に入れると、コペンハーゲン無料自転車を借りた。
これは20DKKコインをさしこむと誰でもタダで借りれる無料の自転車だ。
ブレーキレバーがないが、ペダルを反転させて止まるヨーロッパでは
メジャーなフットブレーキ式。

少々コツがいるが、僕は去年のヨーロッパで経験済みだった。

駅前の通りを駆け抜けチボリ公園をぬけアンデルセン通りを渡ると
市庁舎前広場にたどり着く。
この市庁舎は1903年に完成した6代目の市庁舎で中世デンマーク様式
とイタリアのルネッサンス様式を取り入れた堂々たるたたずまいの建物だ、
中には100年に1000分の1秒しか誤差が生じないイェンス・オルセンの
天文時計がある、100年に1000分の1秒ってスゴイ、まるで電波時計。


ショッピングストリート、ストロイエを抜けて昨夜歩いたニューハウンを
抜けるとアマリエンボー宮殿にたどり着く。

Off-course!!

Off-course!!

アマリエンボー宮殿

クマの毛皮の帽子をかぶった衛兵が立っていなければ、宮殿とは
思えないほど質素なたたずまい。
18世紀末に当時の宮殿クリスチャンボー城が炎上したため4人の
貴族のマンションを宮殿としたもので、もともと王家の住居ではない。
宮殿の屋根にデンマーク国旗が翻っていたら、女王在宮のしるし。


朝早いためか、宮殿の広場には誰一人いない。僕だけだ。
そんな中、宮殿の四隅にクマの毛皮の帽子をかぶった背の
高い衛兵が微動だにせずに立っている。
30分ごとに宮殿内の鐘がなるとまるで時計仕掛けのおもちゃの
のようにピッタリと同じスピードで決まったじコースを規則正しく歩き出す。
誰もいない朝の宮殿の中に4人の衛兵の乾いた靴音が規則正しく響き渡る。

だれも見て無いのにまるでおもちゃのように行進するその姿に
とても感動した。

写真を撮ってもいいですか?と訪ねると衛兵は規則正しく歩きながら
背中越しに「Off-course!!」と言ってくれた。

規律が厳しくて立ち止まって話すことすら許されないらしい。

誰も見てないのに時計仕掛けのおもちゃのように規則正しく動く
衛兵がとても印象的だった。


飽きずにしばらく見ていると、広場にバスが来た。
中からは日本人のツアー客らしい団体の中年のオバサンたちが
わらわらと降りてきた。

彼女らは静かな宮殿の中でまるで幼稚園児の集団のようにキューキャー
と大騒ぎし、衛兵に群がり、規則正しく歩かねばならない衛兵の歩行
コースにわざと立ったりして衛兵を怒らせた。

はっきり言ってこれ以上見てはいられなかった。

日本人の団体客のオバサンたちよ、あなた達はおサルさんですか?
団体でワラワラ来てその国の文化も尊重せずに好き放題。

旅行会社に任せっきりで、安心して羽目を外すのは結構ですが
日本に外人の団体が来て、日本の格式あるお寺を土足で踏み荒らす
ようなことをしてなんとも思いませんか?
全部が全部とは言わないけれどこういう団体のツアーの日本人が
世界中でその国の文化もマナーも学ばずに横柄して外人から
白い目で見られる場面を何度も目撃した。
少なからずこういう日本人が世界の中の日本のイメージを急速に
落としていると思う。

見ていてとてもつらかった。

こういうおばさんたちに限って日本ではやかましいことを言う。


人魚姫

アンデルセン童話人魚姫の像、世界三大ガッカリ像と言われている・・・。

ヨーロッパ各地に見られる星型の要塞(日本では五稜郭)カステレット要塞
の脇を自転車で走る、朝早いせいかそれとも、あまり天気が良くないせいか
途中、ほとんど人に会うことはなかった。

そのカステレット要塞の脇に彼女は居た。

アンデルセン童話で有名な、しかし悲しい物語を思い起こさせる人魚の像。
1913年に作られてから過去に2度も首が切られ、腕がもぎ取られ
なんと去年爆破されたと言う。

この像、世界3大ガッカリ像と言われているらしい。
(残り二つはベルギーの小便小僧とシンガポールのマーライオン)

この世界でも有名な銅像の前には僕一人、周りには誰一人いない。
なんかちょっとすごい。

世界の名所独り占め。

時間は午前9時、バングアンドオルフセンの本店に寄ってみたかった
けど時間があまり無い、そろそろ宿に帰って準備しないと。


アンデルセンが愛したニューハウンの街、カラフルな建物が建ち並ぶ


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