Travel Notes 11

HURRY UP!!

ベルリンツォー駅、まにあったぁ〜

 ハッ!今何時だ!!っつ・・・頭イテェ・・・二日酔いだ。

最悪な目覚めだった、時計を見ると時刻は午前9時、しまった!!
 今日は朝6時の列車でコペンハーゲンに向かう予定だったのに
すっかり寝過ごした、朝の4時まで飲んでたら当然だ・・・。


 あわてて列車時刻表をめくる、次のコペンハーゲン行き国際列車
はベルリンツォー駅を10時11分に出るのがある、それに乗れたとして
コペンハーゲン着は17時59分夕方だ・・・。

 いや、待てよ、これを逃すとその次の14時11分コペンハーゲン着は
夜の10時・・・最悪だ・・・10時なんて観光はおろか、宿の確保すら怪しい。

 意地でも10時11分に乗らなきゃならない!!

残された時間は約1時間、ベルリンツォー駅までUバーンとSバーンを
乗り継いで30分弱、うぉ〜すげ〜急げオレ!!


 バスタオルをつかむとシャワールームに駆け込んだ。
 (こんな危機的状況でもシャワーを浴びるところがダメなところ。)
急いでシャワーを浴びると大急ぎで荷物をザックに詰める。

 ザックを背負うとチェックアウト手続きをする。
昨日とは別人の東洋人がレセプションには座っていた。
 
 「チェックアウトプリーズ!!」

 そう言うと、その東洋人、なにやらなまった英語で聞いてくる。
焦ってる時の英語は最悪だ、コミュニケーションが取れなくて余計
イライラする、こっちは時間が無いんだ!!

 イライラしながら英語でやりとりを試みるが、無情にも時間は刻々と
過ぎていく・・・。
ん?この人、日本人ぽいぞ、もしかして日本人ですか?そう話しかけると向こうも、え?って顔。

 
馬鹿らしい、同じ日本人同士、英語でチェックアウト手続きをしてた。

日本語になった途端スムーズに手続き完了。

ダッシュで地下鉄の駅に向かった。

 焦ってる時はロクなことが起こらない。
地下鉄の駅に降りて切符を買おうとすると、今度は小銭がなくて
チケットが買えない、両替しようと駅員を探すがここは無人駅。
両替機すらない・・・。

 だれかにエクスチェンジしてもらおうにもホームには誰も居ない。

そうこうしてる内に地下鉄がホームに入ってきた。
タイムリミットは残り40分、こいつを逃したらアウトだ。

 えぇ〜い、ゴメン!!

一駅無賃乗車である、日本ですら無賃乗車したことないのに、ドイツの皆さんごめんなさい。

 アレキサンダー広場駅を駆け上がりホームでSバーンのチケットを
買う、今度はお札が使えた。

 ホームにすべりこんできた列車に飛び乗る。残り30分。

Sバーンがベルリンツォー駅に着いた、残り15分、ここで安心しては
いけない、なんせまだ列車のチケットを買っていないのだ。

 ヨーロッパの駅のチケット売り場は並ぶ。
もしここで長蛇の列が出来ていたら一貫の終わりだ。

急いでホームから駆け下りチケット売り場に向かう。
よかった、並んでいるけど3人だけだ、残り7分、チケットゲット!!


 後はホームで列車が来るのを待つだけ。
チケット売り場には日本人の女性がいた、軽く挨拶してお互い手を
振って別れる。

 ダッシュで階段を駆け上がりホームに到着!!残り3分ギリギリセーフ!!

相変わらず、冷や冷やさせられる、旅はもっと余裕を持ってしましょう。

ハンブルグ行きの特急に乗り込む、ハンブルグまでは約2時間半の
列車の旅、ハンブルグでデンマーク国鉄のコペンハーゲン行きに乗り換えだ。


DSBデンマーク国鉄

両端が分厚いゴムで覆われていて自由に連結ができるユニークなデンマーク国鉄の特急、さすがはシンプルで機能的な北欧モダンデザイン

 列車はのどかなドイツの草原を駆け抜け10分遅れでドイツ第2の都市
ハンブルグに到着した。
 ハンバーグの名前の由来になった町だ、朝一の列車に乗っていれば
この街を観る時間もあったけれど今回は乗換えのみ。

 列車が10分遅れたので(比較的時間に厳格なドイツでさえ鉄道はこの有様)
乗り換え時間は20分、キオスク(キオスクはドイツ語)でビールとサンドウィッチとプリングルスを買い込むとホームにデンマーク国鉄の国際特急列車が入ってきた。

 フロントが分厚いゴムに覆われたユニークなデザインの列車だ。
このゴム部分がそのまま他の車両と自由に連結できる、さすがは
シンプルで機能的な北欧デザインの国デンマークの鉄道だ。

 ハンブルグからデンマークの首都コペンハーゲンまで約4時間半。

ヨーロッパの地図を見て欲しい、ドイツのハンブルグとデンマークの
コペンハーゲンは陸続きではない、途中で海を挟んでいるのだ。
しかし列車の乗り換えはない。

一体どうやって渡るのか、とても面白いことが起きるのだ。

 列車に乗り込むとザックを荷棚にチェーンロックで固定する。
ヨーロッパの鉄道は入り口付近に荷物置き場があってそこに荷物を
置くのが普通だ。

 僕の席にはおばあちゃんが座っていた。

 こちらの鉄道には日本の鉄道のように指定席車、自由車という
モノは存在しない、全ての席が自由であり、また全ての席が予約可能だ。
 だから僕の席も僕が来るまでは自由席ってわけ。

 おばあちゃんにチケットを見せて隣の席に移ってもらう。

 ヨーロッパの鉄道は日本と違い標準軌(国際的なレール幅の規格、
日本では新幹線のみ。)なので普通列車といえども
新幹線並みに広くて座席もリッチだ、2等席でも日本のグリーン席に
相当する。


 列車はスルスルとハンブルグを出発した。
4時間半の長旅だ、とりあえずビールで一人乾杯。

 隣のおばあちゃんに日本から持ってきた京都宇治の抹茶キャラメルをあげる。
 鉄道の中で仲良くなった子供なんかにあげるつもりでいくつか持って
きたお菓子の一つだけど、今まで出番がなかったのでおばあちゃんに。

 どれがオススメなの?って聞かれたので抹茶キャラメルを勧めた。

同い年くらいの日本のお婆ちゃんなら好きだろうけど、このデンマーク
のおばあちゃんはどうだろうか?
 おいしいわ、とは言っていたが、いささか怪しい・・・。


 のどかで退屈な車窓の風景とビール、心地よいリズミカルな
線路の音も手伝って、いつしかうつらうつらと居眠りをしてしまった。


目が覚めてちょっとビックリ。


海路国境越え

ドイツ・デンマークを結ぶ国際航路のフェリー

目が覚めると、列車は停まっていた。

窓の外をみると何か建物の中に居るようだ、車がたくさん停まっている。
列車の中にはチラホラとしか客が居なかった。
遠くでエンジン音が聞こえる、これはどこかで見た事がある光景だ、
列車のドアは開いている、降りてみるとそう、そこは船の中。

列車の車輪を見ると、ちゃんとレールの上に乗っている、一瞬???
そう、ドイツ・デンマーク国境はフェリーで渡るのだ。
そして面白いことに、この船、昔あった青函連絡船のように、レールが
敷いてあって、そのまま列車が乗り込むのだ。

 ちょっと面白いでしょ?

ポーターのウェストバッグをたすき掛けにするとキャビンに上がった。

小さいけれど立派な国際航路の船、中には免税店有り、両替所あり、
高級そうなレストランからスナックバーまで飲食店が4つも入ってる。

 たった50分の豪華国際クルーズだ。

ドイツで食べれなかったフランクフルトウィンナーを買ってデッキで
ビールを飲んだ、バルト海の潮風が心地いい。

 列車の乗客と車の乗客で結構、船の中は混んでる。
どうやら東洋人は僕一人だ、まわりの乗客の髪の色が皆キレイな
ブロンド、いよいよ北欧に来た実感が沸いて来た。


目が覚めてビックリ





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