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正式国名 スロベニア共和国 (旧ユーゴスラビア連邦)
面積 2万256km2(四国とほぼ同じ)
人口 199万人
首都 リュブリャーナ(人口33万人)
言語 スロヴェニア語
通貨 スロベニア・トラール(SIT)
小史 1991年6月25日独立宣言、国境の確保を名目に侵攻したユーゴ
スラビア連邦軍との10日間に及ぶ交戦の後、これを撃退。
スロベニア共和国として独立。
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リュブリャーナに着いた頃には辺りはすでに真っ暗だった。
リュブリャーナ市内中心部のユースは夏季限定。
仕方ないのでガイドブックに載っている郊外のユースに泊まる事にした。
時間的なものと、ザグレブからの列車移動で疲れていた。
背中のザックも重い。
僕はATMで現地通貨を手に入れるとバス乗り場に並んだ。
ガイドブックによると郊外のユースはリュブリャーナ駅前のバスターミナルから
9番のバスに乗り、EMONAというバス停で降りて徒歩5分だと言う。
バスを待つこと数分、9番のバスが来たので振り向くと僕のすぐ隣に
立っていた一人の若者が
「Shit!」
と吐き捨てるようにして口にした後、足早に去って行った。
ん?と思って掛けていたバッグを見るとヤベッ!!ジッパーが開けっ放しだった。
ヤツは僕のバッグの中身を狙っていたのだ。
疲れていたのと多少旅慣れてきたのもあって注意散漫になっていた。
さっき、ATMで金をおろした後、ジッパーを閉め忘れていたのだ。
幸い、間一髪、バッグの中身は無事だった。
初めての国に来たというのにかなり油断していた、この街は信用ならない。
気を引き締めていこう。
そう思って僕は、家路を急ぐ市民でいっぱいのバスに乗り込んだ。


郊外のユースホステルには9番のバスに乗ってEMONAというバス停で
降りるとガイドブックに書かれてる。
僕はバスが停まる度に停留所に書かれている名前を確かめた。
車内は帰宅する地元の人で混雑している。
バスはリュブリャーナ市街を抜け郊外に出る。
市街地から抜けると、あたりは真っ暗で、住宅街のせいか人通りもほとんどない。
バス停に停まる度に市内中心部から乗って来た乗客がひとり、またひとりと降りていく。
EMONAと書かれたバス停にはまだ着かない。
もう15分ほど走っただろうか、あたりは真っ暗、僕はだんだん心細くなってきた。
実を言うと僕はバスというものが苦手なのだ。
鉄道に比べて路線が複雑でわかりづらい、まして土地勘のない外国でのバス利用は停留所名すら読むことがむずかしく、一体どこに向かうのか?どこで降りていいのかさっぱりわからず初心者には極めて難しい。
郊外に出てきたせいか、バス停の看板には停留所名すら書かれていない。
これはマズイ、これではどこで降りていいのかわからない。
あんなに沢山乗っていた乗客はほとんど降りてしまって、乗客は僕を含めて
2、3名。仕方なく、僕は運転手にEMONAと書いた紙を見せてここに行きたいん
だけどEMONAはまだかい?と聞いてみた。
運転手はしばらく考えながら、こう言った。
「EMONA・・・EMONA・・・EMONA・・・EMONAなんてバス停には停まらないぞ。」
なんだって?
僕は耳を疑った。
ちゃんとガイドブックに書かれたとおりに来たのに!!
たしかに9番のバスに乗って来たのだが、運転手が言うのだから間違いない。
このバスはEMONAなんてバス停には停まらないのだ。
ガイドブックの情報は完璧ではない、誤りも結構ある、けれど、その誤りが海外
では命取りになる、信用しすぎていた自分のミスだ。
これは困ったことになった。
バスはどんどん郊外へと出て行く。
運転手が、EMONAなんてとこには停まらないからとりあえずここで降りろ。
そして向かいのバスを待て、このままではどんどん街から離れてしまうぞ。
そんなことを言った。
たしかに運転手の言うとおりだ、一旦街に戻って出直すしかない。
しかし、こんな人通りもないとこで降りたとしてそれからどうすればよいのだろう?
そうは思ったが、とりあえず僕は次のバス停で降りることにした。


とりあえずバスを降りてはみたものの僕は途方に暮れてしまった。
住宅街のせいか灯りもなくあたりは真っ暗で人通りも無い。
車もほとんど通らないし、この国には日本のように流しのタクシーなんてものは
存在しない。
とりあえず反対方向のバスを待ってみることにするが、どれくらい待ったら次の
バスが来るのかもわからないし、そのバスが市街中心部に戻るかどうかも
わからなかった。
疲れていたし背中のザックも重い、初めての国で灯りのない郊外の道に
一人ぼっち、なんだかとても心細かった。
早くベッドに横になりたい、シャワーを浴びたい、そんな気持ちだった。
20分ぐらい待ち続けただろうか、やっと向かいのバスがやってきた。
車内に乗りこんで驚いた、さっきの運転手じゃん!!
運転手も、あっ、と思ったらしく、切符代を払おうとしたが、いいから乗りなという。
運転手は必死に何かを僕に訴えるが、僕にスロベニア語を理解できるわけが
なかった。英語でお願いします、と訴えたが英語はできないと言う。
ドイツ語はわかるか?と言われたけれどドイツ語もわからない。
僕は必死に駅に戻りたいんだと言うがお互いに言葉が理解できない。
とてももどかしかった・・・、仕方ない、いいから座っとけ、そう言われて僕は
椅子に座った。
他にどうすることもできない。
僕はこのバスに乗るしかないのだ。
次のバス停に停まったとき、僕と同じくらいの歳の青年がバスに乗り込んできた。
運転手は彼にチケットを売るとなにやら彼に話しかけた。
現地語なので二人の会話の内容はわからない。
バスが再び動き出すと青年が僕の前に座って英語で話しかけてきた。
「どこに行きたいんだい?」
運転手が、この青年に僕のことを頼んでくれたのだ。
僕はワラにもすがる気持ちで必死に駅に戻りたい旨を彼に訴えた。
彼によると、どうやらこのバスは駅には戻らないらしい。
運転手はさっきからそれを懸命に訴えていたのだ。
どうすればいい?そう彼に聞くと待ってろ、駅に近い街の停留所についたら
僕が教えてあげる、そう言ってくれた。
15分ぐらい走っただろうか、バスは再びリュブリャーナ市街に戻ってきた。
あるひとつの停留所に停まったとき、青年が、ここだ、降りろと僕に言った。
青年は先に降りると付いて来いという。
僕はバスの運転手に礼を言うとバスを降りて彼について行った。
彼は付いて来い、と僕に言うと足早に歩き出した。
そして5分ほど歩いたとき、僕らは見覚えのある大きな通りに出た。
「この道をまっすぐ200メートルほど歩けばそこが駅だから、じゃ僕は。」
そう言うと彼は来た道を引き返そうとした。
なんと彼は、自分が降りるべきバス停ではないのにわざわざ僕のために降りて
駅までの道を案内してくれたのだ。
僕は心細さから開放されてホッとした、疲れていたせいもあるだろう、正直泣きそうになった・・・。彼の親切が心からうれしかった。
さっき、駅前でスリに遭いかけたときに、この街は信用できない、そう思ったのだ
がバスの運転手といい、この青年といいこんなにも親切な人間もいるのだ。
僕は本当にうれしくて何度も何度も彼の手を握って礼を言った。
礼を言うことしかできない自分がもどかしかった。
困ったときはお互い様さ、そんなことを笑顔で言ってくれる日本から遠く離れた
スロベニアの青年の親切を僕は生涯忘れない。


「何やってるんですか?旅行ですか?」
外人ばかりの安宿、そこの1階にあるバーで飲んでいる時、日本語で話しかけてきたこの声の主は当然ながら、日本人。
どうやら同じ宿に泊まってるらしい、さっき外人と話しているのがチラッと見え
たが別にコチラから話しかける用もなかったので放っておいたのだが向こうから
近づいてきたってワケだ。
「何やってるんですか?旅行ですか?」
こんな国に、しかもこんな安宿に一人で泊まってるんだ、旅行しかないだろ。
そう返すと、あはは〜そうっすよね、と彼は言った。
話を聞くと彼は大学生、学校を休学して半年前中国からシルクロードを通って
ここスロベニアまで来たと言う。
これだけでもちょっと呆れるのだが、彼の変わりぶりはこれだけじゃない。
”ブルガリアで自転車を買いましてね、チャリでヨーロッパを旅してたんですよ。
寝るとこ?自転車の移動距離なんてたかが知れてますからね、そこら辺の畑
で野宿してましたよ。
自転車で国境とか越えようとすると国境警備官なんてクチぽかぁ〜んって開けて
見るから面白いっすよ。”
あ・・・アホか・・・コイツ・・・。
”ところがね、チャリなんかで旅してると大変でね、やっぱ毎日野宿で不潔な
生活してたもんだから虫が湧いちゃってホラ・・・(と言ってアチコチ咬まれた
痕を見せる。)それでそれだけでも大変だったんですけど今度虫だけじゃなく
犬に咬まれちゃいましてね、それはルーマニアだったんですけど、こっちの
犬って狂犬病の予防注射とか絶対にしてないでしょ?だから慌てて病院に
駆け込んで大変でしたよ。
んでね、ようやくカラダも良くなった頃、ローマでチャリンコパクられちゃって
おっしいな〜、あれでサハラ砂漠横断しようと思ってたのに・・・。”
ポカァ〜ン・・・コイツ、マジあほだ・・・。
サハラ砂漠をチャリで横断できるわけがないだろ、頭ワリイな〜
お前、どこの大学行ってるか知らないけど、そんなアホなことしてないで早く
日本帰れよ・・・どうすんの?これから・・・。
そう聞くと、あと数ヶ月、今度はアフリカを旅をしてから復学すると言う。
そして来年は就職しないで大学院にでも行きますよというではないか。
お前なぁ〜・・・そんなに世の中甘くないぞ、ちゃっちゃと帰ってマジちゃんと
学校行け、大学出たからって今時期、そうそう仕事なんて無いぞ。
こんなアホなことしててお前どこの大学行ってんだよ!!
すると彼、
「え、いや・・・すんません。。。大学ですか?あ、一応東京大学です。」
ハイィィィ〜?
僕は、開いた口がふさがらなくなった・・・。
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