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ザグレブ市内からバスで3時間、窓の外は一面銀世界。
乗客のオバサンたちにプリヴィッツェはココよと言われて僕は目を疑った・・・。
ここプリトヴィッツェ湖畔国立公園はザグレブから南へ約110キロ、大小16の
湖と92ヶ所の滝があり、1979年ユネスコの世界遺産に登録された美しい公園だ。
一時はクロアチア独立戦争の際にセルビア側の管理下におかれ、95年再び
クロアチアに戻ったという経緯を持つ。
戦災による被害の大きさから「危機にさらされている世界遺産リスト」に登録され
緊急保護措置が必要な状態にまでなったが現在では再び幻想的で美しい湖群
の姿を取り戻しリストからも除外された。
アキモトの勧めで来てはみたものの、あたりは一面雪景色。
ザグレブ市内が比較的暖かかったので僕はフリース一枚の薄着で来てしまった。まさかこんなに山の上にあるとは思わなかった・・・まだ10月だし・・・。
とりあえずココだと言われて降りてはみたがフリース一枚ではとても耐えられ
る気温ではない。
こんなに山の中、服なんて手に入るはずもなく、店すらも見当たらない・・・。
公園の入り口まで着てみたものの、僕の服装では外気温に耐えられそうになか
った。
何度くらいあるのだろうか?おそらくマイナスと思われた。
まともに暖をとるところも見当たらず、あまりの寒さに身体は震え、観光どころの
騒ぎではない。
公園の入り口まで行ってはみたが半袖Tシャツ一枚にフリース一枚。
雪景色の山中を歩くにはあまりに軽装過ぎる、外を歩くのは5分が限界と思わ
れた。
この天気のせいか、時期的なものか他に観光客は一切居ない。
この軽装で公園内を歩くことはほぼ不可能、僕は早々に3時間かけて来た
この道を引き返すことを決めた。
問題はバスである・・・。
ザグレブ市内からここに来るバスはよく覚えていないが1時間から2時間に
一本だった気がする。
上の写真を見てもらえればわかると思うがバス停は単なる掘っ立て小屋。
到底寒さを凌げるものとは思えなかった。


バス停にはザグレブ市内行きのバスの時刻表はなかった。
とにかくどこかでバスの時刻表を確認すると共に暖を取ることが急務となった。
幸運なことに公園の入り口に小さな喫茶店を見つける。
店内はかなり寒いがかろうじてここで暖をとることは出来た。
店員にザグレブ行きのバスの時刻表を持ってるかと聞いたがめんどくさそうに
持ってないという。
ここの店員は僕を東洋人と見るとあからさまに態度が冷たい。
コーヒー一杯でバスが来るまで待つなんてことはとてもしにくい状況だ。
なによりココからバス停が見えないことは致命的だった。
タイムテーブルが手に入らない以上、ここでバスを待つかと思ったが何時
なんどき来るかわからないバスをバス停が見えないここで待つわけにはいかない。
しかし外は5分と出ていられない寒さだ。
仕方がないので寒さに耐えながら近くにあるありとあらゆる建物に飛び込みで
入り、バスの時刻表を持っていないかと尋ねた。
中には英語がわからないからと英語が出来る人間を呼んでくれるところもあった
が、やはりザグレブ行きのバスの時刻を知ることはできなかった。
冗談抜きで万策尽きかけた。
あまりの寒さに大げさだが本当に生命の危機を感じるほどだ。
何も考えず軽装で来た自分を本当に呪った。
思いつく限り最後の手段。
そう、あのバス停で待つしかない。
5分後に来るか1時間後に来るかわからない。
もしかしたら2時間待っても来ないかもしれない。
タイムテーブルが手に入らない以上、あのバス停で待つしかない。
意を決して僕は雪の中歩き出した。

バス停で震えながら・・・いや、飛んだり跳ねたり走ったりして必死に寒さに
耐えていると地元のオバちゃん達とおぼしき5人くらいの集団がやってきた。
彼女らは違うバスで町に戻るのだと言う。
僕の服装を見て、「そんな格好で来たの?寒いでしょ、大丈夫?」と心配して
くれる。
ザグレブ市内に戻りたい旨を告げるとすぐ来るからもう少し我慢しないさいと
言ってくれた。
このオバちゃんたちによるとどうやら下りのバスは10分おきに来るらしい。
そりゃ〜タイムテーブルはないわけだ・・・。
少し元気を取り戻してオバちゃん達と話しながらバスを待った。
すると、来た!!ザグレブ行きと書いたバスが!!
僕は思わず道路に飛び出してバスに合図する。
しかし、しかしである、あろうことか客が東洋人と見たバスは僕を無視して
止まらずに通りすぎてしまった・・・。
人種差別による乗車拒否だった。
オバちゃんたちは「まぁ!!なんて不親切なバスなの!!ひどいわね!!
でも安心しなさい。またすぐ来るから。」と言ってくれた。
その言葉に励まされ、僕は再び寒さに耐えながらバスを待つことにした。
その間、オバちゃん達は「頑張りなさい!!」と言って地元のバスで先に
行ってしまった。
残された僕は必死に寒さをこらえ、その10分後に来たバスに合図をした。
しかし再び乗車拒否!!
ふざけんな!!
本当に頭に来たがどうすることも出来ない、僕にはひたすらバスを待つことしか
出来なかった・・・。
もう限界を超えていた、確実に風邪はひいたし、寒くて寒くてどうにもならなかった。
必死に、もうほんとに必死に寒さに耐えていた時、バスは停まってくれた。
暖房が効いて暖かな車内に乗り込んだ時、助かった・・・と心底思った。
あまりに疲れていたのか、ザグレブまでの3時間、一度も目が覚めることなく
熟睡した。
ザグレブ市内はフリース一枚で平気なほど暖かかった。
山の天気は本当にわからない、油断していた自分をとても反省すると共に
またプリトヴィッツェに来ようと思った。
今度は十分な装備と共に・・・。
プリトヴィッツェに秋以降行く方は服装にお気をつけ下さい。

本当はこんな景色が見れるはずだった・・・。
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